台北の松江路(ソンジンルー)エリアにある行天宮(ギョウテングウ)は、1967年に落成した比較的新しい廟です。商売の神様として知られる関聖帝君(関羽)が祀られていて、数多くの寺院がある台湾の中でも、行天宮の人気は随一と言われています。行天宮の名物である収驚(しょうじん)と呼ばれる儀式やおみくじは、台湾の文化を体験できる絶好の機会です。訪れる前に参拝方法や歴史について少しだけ予習していくと、より想い出深い体験ができることでしょう。
行天宮は、炭鉱で財を成した実業家の黄欉(こうそう)により1967年に建立された比較的新しい廟でありながら、多い時には1日に数万人が訪れるという台湾でも随一の人気を誇っています。観光地としても有名なので観光客もたくさん訪れますが、圧倒的に熱心にお祈りを捧げる信者が多いのが特徴です。主神に祀られているのは、中華圏では商売の神様として絶大な人気を誇る関聖帝君で、中国や台湾を始め世界中の華僑が集まる場所にはたいてい関聖帝君を祀った関帝廟があります。関聖帝君とは、三国志で有名な武将・関羽のこと。関羽は、劉備に仕えた武将でしたが、文武両道で忠誠心や義理を重んじていたことが尊ばれ、死後神格化され関聖帝君と呼ばれるようになりました。また関羽は、生涯を通して「五倫八徳」という儒教の教えを堅守したと言われており、行天宮ではこの教えを学び実践していくことの重要性を説いています。
関聖帝君は、一般的に商売繁盛や財運の神様とされていますが、武将だった関羽が財神となったのには商才があったからという説、そろばんや売上帳の発明者だったという説、お金に執着心がなく信頼して任せられるという説など諸説あります。また、関聖帝君は、財運だけでなく無病息災や家内安全、試験合格、事業成功など様々なご利益がある全知全能の最強の神とされているため、大衆の人々に人気があるというのも何となく頷けますね。
行天宮をお参りするには、幾つかの作法があります。入口の門を入る時は左足から入り、敷居を踏まないように気を付けましょう。入口以外でも「請勿踐踏」と書かれている場所は、踏まないように注意が必要です。中へ入ると、手洗い場があるので、最初に手を洗い身を清めます。日本の神社でも参拝する際に手水舎で手と口を洗いお清めをしますが、これは共通する作法ですね。通常お寺では、参拝の際に線香を供えるのが一般的ですが、行天宮では、環境保護のために線香の使用は廃止されました。
参拝方法は、「三跪九叩」と呼ばれるもので、まず跪拝台の上に左膝、右膝の順に足を台の上にのせます。手のひらを合わせて拝礼をしてから、跪拝(頭と両手を台に付けてお祈りすること)します。この時に女性は手のひらを上に、男性は手のひらを下に向けて跪拝します。行天宮の正殿には、関聖帝君を中心に呂洞賓恩主、王善恩主、張単恩主、岳飛恩主が祀られ「五聖恩主」と呼ばれています。さらに「五聖恩主」の右には関聖太子平、左には周恩師倉が祀られています。参拝は、前殿(天公)→正殿正面の五聖恩主→正殿左側の関聖太子平→正殿右側の周恩師倉の順番に行います。
参拝方法は、写真付きの解説がある他、行天宮のスタッフも丁寧に教えてくれますので、わからなければ気軽に尋ねてみましょう。スタッフの中には日本語が話せる人もいます。また、行天宮についてのパンフレットやタッチパネルのディスプレイで日本語で解説を見ることができるので、時間があれば確認してみるのがオススメです。
参拝の後は、台湾式のおみくじに挑戦してみましょう。日本のおみくじとは異なり、茭杯(ジャオベイ)と呼ばれる赤い三日月型の道具(台湾や中華圏の道教寺院でよく見られるもの)を用いて行うのですが、これが、中々一筋縄ではいきません。
まず茭杯を2つ両手で挟み、自分の名前、住所、生年月日と願い事をした上で神様におみくじを引いてよいか茭杯を床に投げてお伺いをします。この時、表と裏が出れば、おみくじを引くことができます。竹棒の束の中から1本を引いて番号を確認し、その番号でよいか再度神様にお伺いするために茭杯を投げます。表と裏が出れば、該当の番号が書かれた棚からおみくじを取ります。因みに表・表や裏・裏が出てしまった場合は、表・裏が出るまでやり直しです。無事おみくじを手に入れたら、おみくじの解説をしてくれるカウンターへ向かいましょう。日本語が話せるボランティアスタッフもいますので安心です。
台湾のおみくじは、一発でOKの場合もあれば、何度も何度もやり直しをするという根気がいることも。それでも苦労して手に入れた分、よりご利益を感じられるかもしれませんね。
行天宮の境内では、青い法衣を着た人が参拝者に祈祷のようなことをしていて、そこに多くの人々が列をなしている様子を目にすることがありますが、これは、収驚(しょうじん)という儀式を受けているのです。収驚とは、人が驚いたり、ショックを受けた時に体から抜けた魂魄(こんぱく)を元に戻す儀式のこと。魂魄が体から抜けると疲れを感じたり、落ち着きがなくなったりして、心身の状態が悪くなります。そこで、収驚を受けて心身を正常な状態に戻すことが大切だとされているのです。
収驚の列に並ぶ時には、会話、携帯電話、飲食は禁止されています。また収驚は体の右側から行うので鞄などの荷物がある場合は、左側に持つようにしましょう。順番が回ってきたら、係の人に自分の名前を台湾語か中国語読みで伝えます。ただし、発音が上手く伝わらない場合は、漢字で書いたメモを見せるか日本語読みでも大丈夫のようです。最近何となく調子が悪いと感じる人は、収驚を体験してみると効果を感じられるかもしれませんね。
行天宮のおみくじや収驚は全て無料ですが、体験後は心付けとして寄進箱に寄付をしていくとよいでしょう。参拝、おみくじ、収驚など他ではなかなか味わうことのできない体験は、特別な思い出となるはずです。
ツアー・アクティビティ名 | 所要時間 | 詳細 |
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台北市内観光(故宮博物館も!)+夜の九份+台北の夜市(饒河街夜市) | 1日 | |
台北市内観光ツアー 故宮博物院+中正紀念堂+忠烈祠+行天宮 | 1日 | |
台北市内観光ツアー 故宮博物館+中正紀念堂+士林(シーリン)夜市 | 1日 |
台北は、台湾島の北部に位置し、亜熱帯性気候で年間を通して温暖です。一年を通して雨がよく降りますが、特に6~9月は雨が多く、かなり蒸し暑くなります。またこの時期は台風が頻繁に発生します。旅行のベストシーズンは、過ごしやすい気候の3~5月と10~11月です。12~2月は天候が不安定になり冷え込むこともあるので防寒着があると安心です。また夏でも屋内は冷房がかなり効いているので羽織ものなどが1枚あると便利です。
天気予取得中... |
【桃園空港から台北市内】
<桃園空港MRTを利用>
空港から台北駅まで運行
※快速と普通車あり
(台北駅まで)
所要時間:35~45分
料金:160TWD
<空港リムジンバスを利用>
台北市内へは複数路線あり
空港ターミナル内のバスチケットカウンターでチケットを購入後、指定のバス停から乗車。
所要時間:約1時間
料金:90~145TWD ※路線により異なる
<タクシーを利用>
到着ロビーにあるタクシー乗り場から行き先を告げて乗車
所要時間:約1時間
目安料金:1300TWD前後
<シャトルバス+台湾高速鉄道を利用>
空港からシャトルバスに乗車→(約25分)
→台湾高速鉄道桃園駅→(約20分)→台北駅
所要時間:約1時間
料金:シャトルバス30TWD
高速鉄道(一般)160TWD
【台北市内からのアクセス】
・MRT行天宮駅から徒歩約5分