イシマンガリソ湿地公園は、南アフリカ東部クワズール・ナタール州のインド洋沿岸部に位置し、南のマペラネから北はモザンビーク国境まで約220kmにわたって広がる広大な湿地帯で、沖合のサンゴ礁も含まれています。美しいビーチや海岸砂丘、サンゴ礁、海水と淡水が交わる河口や湖沼、湿地、森林地帯、サバンナなどが多様性があり、530種以上の野鳥をはじめ、数多くの野生動物や海洋生物の楽園となっています。このようにユニークな境界域の自然環境から多様な動植物の生態系を生み出すイシマンガリソ湿地公園は、1999年にユネスコの世界遺産に登録されました。
営業時間:保護区毎に異なる
料金:保護区毎に異なる(各23~55ZAR)
公式サイト:isimangaliso.com
(2020年4月現在)
イシマンガリソ湿地公園は、2019年に海洋保護区が大幅に拡大し、1,328,901ヘクタールとなり、現在はクルーガー国立公園に次いで、南アフリカで2番目に大きい保護区です。また、モザンビークの保護水域とともにトランスフロンティア(越境)海洋保護区にもなっています。
イシマンガリソ湿地公園は、数多くの自然保護区の集合体であり、サンゴ礁や砂浜、亜熱帯の森林に覆われた砂丘、サバンナ、湖沼、湿地などそれぞれが独立して機能しながら相互に結びついた8つの生態系から成り立っています。この多様な自然環境により、多くの野生動物や植物の生息地となっています。この公園は、かつてはグレーター・セント・ルシア湿地公園という名前でしたが、2007年に現在のイシマンガリソ湿地公園に改称されました。イシマンガリソとは現地のズールー語で「驚異」を意味し、ユニークな生態系を育むこの地をうまく表現した言葉となっています。
イシマンガリソ湿地公園では、ハイキングやバードウォッチング、乗馬、サファリ、シュノーケリング、ダイビング、ビーチ・ピクニック、釣り、カヤックなど様々なアウトドア・アクティビティを楽しめるエコツーリズムが盛んで、時期によってはホエールウォッチングやウミガメを観察することもできます。
1986年に保護区域としてラムサール条約に登録されたセント・ルシア(St. Lucia)湖は、イシマンガリソ湿地公園の多様な生態系を育む中心的な役割を果たしています。セント・ルシア湖の北側はアシやパピルスが生茂るムクフゼ湿原(Mkhuze)、東岸は森林のある砂丘地帯、西岸はサバンナやソーンフェルトの草原地帯が広がっており、それぞれがセント・ルシア湖により結びついています。セント・ルシア湖は、ペリカンやフラミンゴなどワズール・ナタール州に生息する水鳥の半数以上の繁殖地となっており、バードウォッチングに適したスポット。また、2180種以上の花をつける植物が自生しているほか、ウォーターバックやリードバック、クードゥー、インパラなど多くのアンテロープ種の生息地にもなっています。西岸エリアでは、ビッグ・ファイブをはじめ大型の哺乳動物が生息しており、セルフドライブでサファリを楽しめます。
セント・ルシア湖から水が海へ注ぐセント・ルシア・エスチュアリー(Saint Lucia Estuary)は、アフリカ最大の河口湾です。亜熱帯性の気候に属し、セント・ルシア湖から流れ出す淡水と海水が入り混じり、周辺にはマングローブの林が茂っています。ここは1200頭のワニと800頭のカバが生息しており、それらを観察するボートクルーズツアーが人気です。ワニやカバが悠々と水面を泳いだり水浴びをしている姿、岸辺やマングローブの木陰で気持ちよさそうに昼寝をしている姿を目にすることができます。
イシマンガリソ湿原公園の一部であるソドワナ湾国立公園 (Sodwana Bay National Park)は、手付かずの美しいビーチと豊かな海洋の生態系が保たれています。ソドワナ湾は、世界で最も南にあるサンゴ礁として知られ、そのサンゴ礁に集まる1200種以上の海中生物が生息しています。「南アフリカのバリアリーフ」と呼ばれており、南アフリカ屈指のダイビングのスポット。海岸沿いでは、ダイビングよりも気軽に楽しめるシュノーケリング・スポットも数多く点在しています。
6月~11月にかけては、ミナミセミクジラとザトウクジラが南極から暖かいインド洋に繁殖にやってきます。そのためソドワナ湾沿岸ではこの海域を通過するクジラたちを頻繁に見ることができ、ホエールウォッチングツアーも催行されています。特にザトウクジラがブリーチング(海上にジャンプすること)するダイナミックな光景は圧巻。バンドウイルカは1年を通して見ることができます。
また、2000年には絶滅したと信じられていたシーラカンスがソドワナ湾の深海で発見され、それ以来シーラカンスの生息地としても知られています。
イシマンガリソ湿地公園の海岸線は、絶滅危惧種のアカウミガメとオサガメが産卵にやってくるアフリカで唯一の場所となっています。ウミガメの産卵時期は毎年11月から始まります。母ガメは砂浜に深さ1mほどの穴を堀り、そこに80~100個の卵を産んだ後、野生動物やカニなどの外敵から卵を守るため砂で覆い隠します。卵が孵化するまでには最大で70日かかり、1月~3月にかけて孵化した子ガメは夜間に地表に現れ、海へ向かっていきます。ここから生存競争をくぐり抜け無事に成体まで育つのは1000匹の内、わずか3~4匹程度です。毎年11月~3月にかけて、セント・ルシアやヴィダル岬(Cape Vidal)、ソドワナ湾などのツアー会社やロッジからタートルツアーが催行されています。一生に一度は見てみたいウミガメの産卵や海に繰り出す子ガメの貴重な光景に出会うチャンスです。
モザンビークとの国境を接するコシ湾(Kosi Bay)は、手付かずの自然が残るアフリカ最後の楽園と言われています。真っ青な海と白い砂浜にマングローブが生茂る沼地、湖、アシの生える水路、ラフィアヤシが自生する森、湿地などの多様な自然環境に恵まれており、250種以上の野鳥をはじめ、カバ、ワニ、サルやシカなどの野生動物が生息しています。コシ湾は、原生の湖沼システムが残るエリアでコシ湖と周辺の3つの湖が蛇行した狭い水路や湿地で繋がっており、最終的に河口から水がインド洋に流れ出ています。コシ湾は、古くからツォンガ族(テンベ・コミュニティ)が暮らす土地。今でも700年以上続く彼らの伝統的な漁法が受け継がれており、魚をとる仕掛けを見ることができます。
南半球に位置する南アフリカは、北半球とは逆の季節になります。夏(11月~3月)は、雨季で蒸し暑くなります。一方冬(6月~8月)は、温暖で乾燥した穏やかな気候です。ただし夜間は冷え込むので防寒対策が必要です。観光は1年を通して楽しめますが、ホエールウォッチングなら6月~11月、ウミガメ観察は11月~3月がシーズンです。
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※目的地により異なる