カカメガの森は、ケニアで唯一熱帯雨林の原生林が残る場所で、その内の北部の約45平方kmは国立保護区に指定されています。霊長類の保護区にもなっており、様々な種類のサルが生息しています。また、ケニアではここにのみ生息している固有種も多く、特に鳥類や蝶類は珍しい種が多いのが特徴です。森の中には、ハイキング・トレイルが整備されており、危険な大型野生動物はいないので車でのサファリでなく、歩きながら自然観察やバードウォッチングを楽しめます。
<カカメガ・フォレスト国立保護区>
料金:(大人)22USD(子供)13USD
公式サイト:kws.go.ke
赤道直下に位置するケニアは、国土の大半が標高1,200m以上の高原で、乾燥したサバンナや砂漠地帯がほとんど。そんな中カカメガの森は、かつて中央アフリカ全土に広がっていたギニア・コンゴ地域の熱帯雨林の貴重な原生林がケニアで唯一残る場所となっています。かつてケニアで熱帯雨林があった場所の多くは、大地溝帯(グレート・リフト・バレー)により乾燥化が進み、さらに人間の活動により原生林は徐々に姿を消し、現在はそのほとんどがサバンナや二次林となっています。カカメガの森は、標高1,500m~1,600mの起伏のある地形に位置し、イシウクー川とヤラ川の流域に約238平方kmに渡って広がっています。その内の北部の約45平方kmが国立保護区となっていて、南部はケニア森林局の保護区となっています。緑の木々が鬱蒼と生い茂り、広大なサバンナの大地が広がるケニアの他の国立公園や保護区とは雰囲気がだいぶ異なります。乾燥したサバンナを巡った後にカカメガの森を訪れると瑞々しく濃い緑の植物の美しさを肌で感じることができるでしょう。特に雨上がりの森は、ひんやりと澄んだ空気が心地よく感じられます。
カカメガの森の北部にあるブヤング・ヒル(Buyangu Hill)には、ハイキング・トレイルがあり、トレイルの途中にあるビューポイントからは素晴らしい森の眺望を見渡せます。また、ブヤング・ヒルのビューポイントは、サンライズの鑑賞スポットとしても知られています。早朝、東の空が徐々に白みはじめ朝日が顔を覗かせる直前に森にかかる霧が紫やピンク色に染まる瞬間の光景はなんとも幻想的。その後太陽が昇るにつれて徐々に全体が明るく照らし出され、森の新しい1日が始まります。カカメガの森周辺に滞在する際はぜひサンライズを見にブヤング・ヒルを訪れてみて下さい。忘れられない思い出となること間違いなしです。
カカメガの森には、樹木や植物、ハーブなど含め380種以上の植物が自生し、約60種類あるカラフルなランの内、9種はカカメガの森の保護区でしか見られない固有種です。これらの花や植物の周りには蝶がひらひらと舞う姿も見られます。カカメガの森では、実に400種以上の蝶類が確認されています。甲虫では最大の大きさを誇るライアスオオツノハナムグリも生息しています。
また、カカメガの森はケニア全土で見られる鳥類の約3分の1にあたる350種以上の鳥類が生息する野鳥の楽園です。東アフリカではこの地域でしか見られないムラサキハチクイやバードウォッチング愛好家憧れのハシグロエボシドリやカンムリエボシドリをはじめ、クリビタイヒメムシクイ、ハシダカサイチョウ、ハイノドゴシキドリ、絶滅危惧種のヨウムなどの珍しい鳥も多く見られます。
カカメガの森は野鳥の他にもブッシュバックやダイカー、ハリネズミ、カワイノシシ、ジャコウネコなどの哺乳動物、27種のヘビなど多様な生き物の生息地となっています。中でも霊長類は、観光客に人気でアビシニアコロブス、デブラッザモンキー、ブルーモンキー、レッドテイルモンキー、オリーブバブーン、ベルベットモンキー、ポットーの7種が生息しています。体全体が黒い毛で覆われていて、顔や背中、尻尾の先のみ白い毛に覆われたアビシニアコロブスは比較的よく見られます。アビシニアコロブスの背中の長い白い毛は特に印象的で、器用に木の枝から枝へと飛び移って行く姿は見ていて飽きません。カカメガの森の北部には飛び地のようになったキセレの森(Kisere Forest)があります。ここも保護区に指定されておりデブラッザモンキーの生息地として知られています。
カカメガの森でハイキングやバードウォッチングを楽しむには、知識や経験豊富な地元のガイドと回るのをオススメします。薬用の植物の利用法や珍しい植物、生物について説明してもらえる他、素人ではなかなか見つけられない野鳥や蝶、昆虫なども素早く見つけて教えてくれます。野鳥や動植物の観察には双眼鏡があると便利です。また、カカメガの森は、1年を通して降雨があり、湿度が高めです。特に雨季は地面がぬかるみ足元が悪くなるので、レインシューズや雨具はもちろん、汚れてもよい服装で出かけることをオススメします。
緑豊かなカカメガの森は自然愛好家にとって聖域のような場所。カカメガの森や周辺にはキャンプサイトやロッジがいくつかあります。静寂に包まれた森の中で鳥のさえずりに耳を傾けながら、数日ゆっくり滞在するのもオススメです。カカメガの森の南部にあるロンド・リトリート・ロッジ(Rondo Retreat Lodge)は、植民地時代に建てられた趣のあるロッジです。広い敷地内には宿泊棟やレストラン棟、レセプションなどの建物が点在しています。部屋のテラスから手入れが行き届いた美しい庭を眺めながら、ゆったりと過ごす時間はまさにプライスレス。運がよければ庭に遊びにくる野鳥やサルを間近で観察できるかもしれません。
ロンド・リトリート・ロッジからハイキングで訪れることができるリランダ・ヒル(Lirhanda Hill)のビューポイントも見晴らしがよく、サンライズやサンセットの鑑賞のスポットとして人気があります。リランダ・ヒルの途中にはコウモリの住処となっている金鉱跡の洞窟があります。
熱帯雨林のカカメガの森は、温暖湿潤な気候で1年を通して観光することができます。年較差はほとんどなく日中は30度前後まで上がりますが、夜間は10度近くまで冷え込むので、防寒対策が必要です。大雨季は3月~5月、小雨季は8月~9月、乾燥は1月~2月です。1年を通して降雨があるので雨具の準備もしておいた方がよいでしょう。
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【キスム国際空港からカカメガの森】
車で約2時間