シェイクスピアの戯曲「ハムレット」の舞台となったクロンボー城は、コペンハーゲンから北へ45km、バルト海に面した港町ヘルシンオアの沿岸部に位置しており、対岸にはスウェーデンの町ヘルシンボリを望むことができます。16世紀~18世紀にかけて北ヨーロッパの戦略的要衝として重要な役割を担ってきました。何世紀にも渡り、デンマークの栄枯盛衰を見守ってきたクロンボー城は、北欧ルネサンス建築の傑作と称され、2000年にユネスコの世界遺産に登録されました。
営業時間:(10月−5月)11:00-16:00(6月−9月)10:00-17:30
休業日:11月-3月の月曜、1/1、12/24、12/25、12/31
料金:(大人)90DKK(学生)80DKK
公式サイト:kongeligeslotte.dk
(2018年12月現在)
ルネサンス様式の城としては北欧最大級の規模を誇るクロンボー城。その起源は、1420年代にデンマーク、スウェーデン、ノルウェー間で結ばれたカルマル同盟の盟主となったデンマーク国王エーリク7世が経済を立て直す策としてオーレスン海峡の通行税を徴収するために砦が築いたのが始まりです。その後、フレデリック2世の時代に大規模な改修工事を行い、要塞機機能を強化し、さらに王宮としての部屋を備えたルネサンス様式の壮麗な城が1585年に完成し、最盛期を迎えました。17世紀~18世紀にかけて火災や攻撃により何度も修復や改修が繰り返されたものの、栄華は続きませんでした。18世紀後半には、クーデターにより囚われの身となった悲恋の王妃カロリーネ・マルディが一時幽閉されていたこともありました。さらに1785年から1924年まではデンマーク軍の基地司令部として利用されるなど、時代毎にその姿を変えてきました。
現在は、内部が一般公開されて、年間25万人が訪れる観光名所となっています。コペンハーゲンから電車で1時間弱とアクセスも良好で、日帰り旅行先としてもオススメです。
クロンボー城の内部は現在一般公開されており、かつての王家の人々の暮らしぶりを再現した居住スペースやボールルーム、教会などを見学することができます。見学の拠点となるのが、建物の中央にある中庭で、北棟は王の住居、西棟は王妃の住居、東棟は王族の部屋や厨房、南棟は教会となっています。しかし、フレデリック2世の時代の華やかな王宮の面影は、あまり見られず、全体的に簡素な印象です。というのも、1629年の火災で大半を焼失し、1658年にスウェーデンに占領された時に略奪に遭い、さらに、その後デンマーク軍の基地司令部として使用された時代が長かったことが関係しています。
その中で、フレデリック2世の時代に作られた王室の歴史や神話が描かれたタペストリーや王の間と王妃の間の天井画は見応えがあります。また、1629年の火災の被害を免れた教会は、現在も繊細な彫刻装飾が施された創建当時の美しいインテリアを見ることができます。
ボールルームは、長さ60mあり1585年の完成当時は北欧最大級の広さを誇っていました。現在は装飾や展示品もそれほどなくシンプルな広間ですが、当時は、精巧な彫刻や絵画、真鍮のシャンデリアなど豪華な装飾が施され、金や銀の糸が織り込まれたシルクの天蓋、貴重なタペストリーが飾られ、華やかな宴が繰り広げられていました。
クロンボー城には地下壕が備えられています。暗く陰鬱な雰囲気が漂っていますが、戦時下では、兵舎として使用され、堅牢な壁は敵の攻撃から多くの兵士の命を救ってきました。この地下壕で見どころとなっているのが、盾と剣を携えて眠るホルガー・ダンスクいう巨人の石像です。ホルガー・ダンスクは、国家が危機的状況に晒された時に地下から目覚め、国を守ってくれるというデンマークの伝説の英雄です。
因みにクロンボー城では、この地下壕のガイドツアーをはじめ、クロンボー城の歴史や建物に関するガイドツアー、ハムレットの足跡を辿るガイドツアーなどの様々な無料のガイドツアーが行われています。内容や開催時間は時期により異なりますが、料金は入場料に含まれているのでタイミングが合えば参加してみるのものオススメです。
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ(To be or not to be, that is the question.)」。これは、17世紀初頭、イギリスの偉大な劇作家シェイクスピアにより書かれた「ハムレット」の名台詞です。ハムレットは、デンマーク王子ハムレットの悲劇の運命の物語で、シェイクスピアの4大悲劇の中でも傑作と言われています。原作を知らなくてもこの名台詞は、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
そして、そのハムレットの舞台であるエルノシア城こそが、このクロンボー城なのです。シェイクスピア自身がこの城を訪れたことはなかったと言われていますが、クロンボー城の壁にはシェイクスピアの石版のレリーフが設置され、ハムレットに関する記述がされています。
毎年夏に行われるハムレット・ライブは、クロンボー城の名物。中世の衣装を身に纏ったパフォーマーたちが、城内の至るところを舞台にハムレットの1シーンを突然演じはじめます。目の前で始まる寸劇パフォーマンスは臨場感たっぷりで、訪れる人々の目を楽しませてくれます。
現在は世界遺産の古城として、周辺も整備され、のどかな雰囲気が漂っていますが、堅牢な城壁やその周りを取り囲む壕、今でも海に向かって並ぶ大砲などから、当時この地が戦略的に重要な場所であったことを改めて感じさせられます。
海に面したクロンボー城は、眺望もよく、特に南西の塔へは階段で上ることができ、屋上の展望台からはヘルシンオアの市街地やオーレスン海峡、さらにその先、対岸のスウェーデンまで見晴らすことができます。対岸のスウェーデンの町ヘルシンボリまではわずか5km、フェリー20分ほどの距離です。
天気が良ければ城内だけでなく、城壁の外に敷かれた遊歩道の散策もオススメ。遊歩道の周りには芝生が植えられており、観光客だけでなく、地元の人々の散歩やジョギングコースとしても親しまれており、クロンボー城や周辺ののどかな景色を眺めながら気持ちのよい散策を楽しめます。
ツアー・アクティビティ名 | 所要時間 | 詳細 |
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世界遺産クロンボー城入場ツアー<貸切/午前/コペンハーゲン発> | 4時間 | |
選べるバス&ボートが乗り降り自由!ホップオン・ホップオフ 市内観光ツアー<48時間有効/コペンハーゲン発> | - | |
出発地を選べる!運河クルーズツアー<コペンハーゲン発> | 1時間 |
コペンハーゲンは、四季がはっきりとしていて、観光のベストシーズンは、最も過ごしやすい夏の6月~8月です。緯度が高いため夏季は日照時間が長く、観光に十分時間を取ることができます。沿岸を流れる暖流の影響で高緯度の割には温暖ですが、冬は日照時間が短くなり、厳しい寒さとなるので防寒対策は万全に。
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【コペンハーゲン空港から市内】
<電車(DSB)>
所要時間:(コペンハーゲン中央駅)約15分
料金:36DKK
参考サイト:dsb.dk
<地下鉄>
M2が空港から市内まで運行
所要時間:約15分
料金:36DKK
参考サイト:m.dk
<バス>
5Aが空港からコペンハーゲン市内中心部まで運行
所要時間:約30分
料金:36DKK
<タクシー>
メーター制
所要時間:(市内中心部)20~30分
目安料金:250~300DKK
【コペンハーゲン市内からのアクセス】
コペンハーゲン中央駅からHelsingør行きの電車に乗車→(約45分)→Helsingør下車→徒歩約10分
(2018年11月現在)