モロンダバは、モザンビーク海峡に面したマダガスカル中西部に位置するのどかな海岸沿いの町です。かつては、マダガスカル西海岸全域を支配したサカラヴァ人と交易する船乗りたちの寄港地となっていましたが、現在はこの地域の稲作の中心地となっています。そして、バオバブ街道やキリンディ森林保護区、ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区など周辺に点在する観光スポットの中継地点となっており、多くの旅行者が立ち寄る場所となっています。
海辺の町モロンダバの通りには、トゥクトゥクやプスプス(人力車や自転車のタクシー)が行き交うのどかな雰囲気が漂っています。モロンダバ自体には、いわゆる観光名所と呼ばれる場所はほとんどありませんが、町のあちこちに立ち並ぶ屋台や色とりどりの野菜やフルーツ、肉、シーフード、スパイス、日用品などありとあらゆるものが揃うマーケットは、多くの人々で賑わい、地元の人々の暮らしぶりが垣間見られます。
砂浜のビーチとモロンダバ川、水路に挟まれて三角州となったノシ・ケリー半島には、リゾートホテルやバンガローが立ち並び、喧騒から離れてのんびり過ごしたい人にオススメの滞在先です。ビーチ沿いには、レストランやカフェもあり、潮風を浴びながら食事を楽しんだり、海を眺めたりとのんびりとした午後のひと時を過ごすことができます。海辺の町モロンダバは新鮮なシーフード料理も絶品なので、訪れる際はぜひ味わっておきたいところです。
モロンダバから北東に約18kmに位置するバオバブ街道は、マダガスカルを代表する観光スポットです。モロンダバからバオバブ街道へは、モロンダバからタクシーをチャーターして行くのが一般的。モロンダバから途中までは舗装道が敷かれていますが、北へ左折した先は未舗装のデコボコ道となり、片道30分~1時間近くを要します。このデコボコ道を少し進むと、やがてのどかな田園地帯にポツポツと点在するバオバブの木々が見えてきます。バオバブ街道は、通りの両脇に最大で高さ30mにもなる巨大なバオバブの木々が立ち並び、印象的な景観を作り上げています。かつてこの地域は、バオバブ以外の木々も生い茂る森林地帯でしたが、人口増加に伴い多くの木々が切り倒されました。しかし、人々の信仰対象のバオバブは切り倒されなかったため、現在のようなユニークな景観が生まれました。サンライズとサンセットの幻想的な景観は特に素晴らしく、紫やピンク、オレンジがかった空を背景にバオバブの木々が立ち並ぶ様子はとってもフォトジェニック。根っこのような形状の細い枝が四方に伸びるバオバブは、まるで悪魔が巨木を引き抜いて逆さまに突っ込んだようだと言い伝えられる通り、一度見ると忘れられない強烈なインパクトがあります。
バオバブ街道からさらに40kmほど北上するとキリンディ森林保護区があります。キリンディ森林保護区には、8種類のキツネザルをはじめ、テンレックやホソスジマングース、フォッサなどの哺乳類、60種類以上の野鳥、数十種類の両生類や爬虫類など多様な野生生物が生息しており、モロンダバから日帰りで訪れることができる人気の観光スポットです。
世界最小の哺乳類のマダムベルテネズミキツネザルは、キリンディの森林周辺にのみに生息する希少な固有種です。地面を横っ飛びで移動することで知られるベローシファカや額から口元にかけて黒い筋の入ったアカビタイチャイロキツネザルはよく見られます。また、キリンディは、マダガスカルの野生動物界の頂点を極める肉食獣フォッサにも比較的出会いやすいスポットとして知られています。フォッサは、ネコ目マダガスカルマングース科に属するマダガスカルの固有種で、木にも登ることができキツネザルの天敵でもあります。
多様な動植物が生息するキリンディ森林保護区では、ナイトサファリも行われており、日中はなかなか見られないハイイロネズミキツネザルやニシフォークキツネザルなど夜行性の野生生物を観察することができます。この他、マダガスカルオウチュウやニシジカッコウ、カンムリジカッコウ、マダガスカルシキチョウ、アカオオハシモズ、マダガスカルコノハズクなどマダガスカル固有の野鳥も多く見られ、バードウォッチング愛好家にもオススメのスポットです。
ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区は、モロンダバから150kmほど北にある世界遺産に登録されている自然保護区です。ツィンギとは、マダガスカル語で「先端」や「先の尖った」という意味があり、その名の通り刃物の先端のように尖った岩山が林立する奇観が広がっているのが大きな特徴です。この岩山は、石灰岩のカルスト台地が数万年もの歳月をかけて雨風などの侵食により削られて形成されたもので、深さ数十mにも侵食が進んでいます。ツィンギは、大ツィンギと小ツィンギがあり、それぞれトレッキングをしながら観光することができます。大ツィンギでは、ザイルを使って岩の谷間に下りて非常に狭い岩壁の間を歩いたり、渓谷の上に架けられた吊り橋を渡ったり、起伏に富んだ岩場が続きます。小ツィンギに比べるとスリリングなトレイルですが、その分スケールも壮大です。そして、ツィンギでは雨水は岩に吸収されてしまうため、水を蓄えることができるように独自に進化したバオバブやサボテンなど乾燥に強い植物が多く自生しています。さらに、この厳しい自然環境に適応したキツネザルや爬虫類、野鳥にも多く出会えます。
モロンダバからツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区の最寄りの町ベコパカ(Bekopaka)までは、未舗装の悪路が続き、途中2つの川をカーフェリーで渡りながら車で片道7~8時間かけて向かう過酷なオフロード旅となります。
マダガスカルの西海岸に位置するモロンダバの観光は、雨が少なく比較的過ごしやすい乾季の5月~10月頃がオススメです。日中は暑く日差しが強いので日焼け止めやサングラス、帽子などの日除け対策が必要です。雨季の12月~3月頃は、大雨が降ると道路状況が悪くなり、行動範囲が限られる場合があります。
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