タイ最東部の県ウボンラーチャターニーに位置するパー・テーム国立公園は、340平方kmという広大な敷地のほとんどを岩盤とジャングルが占める国立公園です。この国立公園の断崖から臨む景観は、タイ屈指のメコン川のビュー・ポイント。また、敷地内にある断崖絶壁に描かれた古代絵画や、サオ・チャリアンと呼ばれるキノコ型の奇岩群も見どころです。
営業時間:5:00~18:00
国立公園入場料:(大人)400THB(子供)200THB
パー・テーム国立公園へは、タイ最東部の都市、ウボンラーチャターニーに入るところから始まります。ラオス、カンボジアとの国境を有するこの都市は、古来より強い仏教徒の伝統を受け継がれてきたため、タイ中心部とはまた一味違った歴史や文化に触れることのできるエリアになっています。バンコクからは国内線で1時間ほど。飛行機でひとっ飛び・・・もいいですが、バンコクから寝台列車でウボンラーチャターニーを目指すというルートも、旅情緒に溢れていてお勧めです。市街からパー・テーム国立公園へは約100km、車で1.5時間ほどの距離になります。車をチャーターする場合は、ドライバー付きで1日1500バーツほどを目安にしているとよいでしょう。
公園の駐車場は巨大な岩の上。このような駐車場もこの国立公園ならではです。パー・テーム国立公園の魅力は何と言っても、高い断崖の上から見下ろすメコン川流域の景観。ゆったりと流れる雄大なメコン川、その手前には木々の間から覗くのどかな田園風景、対岸には雲をまとった幻想的なラオスの山々が連なり、地平線まで遮るものがない大パノラマは圧巻です。地球を感じられるダイナミックな風景、その壮大な景色をカメラに収めようとシャッターを切るのに夢中になると危険です。この断崖、自然のままの姿を残してあるため、柵などはありません。足元には十分ご注意を。一番高い断崖から車で5分ほど下ったところにある砂岩の広場では、また一味違ったメコン川の景観を楽しむことが出来ます。ここでは、時期がよければ民族楽器のパーフォーマーに出会えるかもしれません。公園の名前にもなっている「パー・テム」は「タイで最も早い夜明けを迎える地」の意味。その名の通り、サンライズを見る絶好のポイントでもあるため、テントを張っている人たちの姿も見受けられます。季節になると様々な植物が花を咲かせる岩の平原には、クレバスのような裂け目が。地殻変動の際に出来た亀裂でしょうか、狭い裂け目ですが奥は深そうです。また、公園内の資料を展示したインフォメーション・センターには、なんと郵便ポストがあります。隣接の売店で絵ハガキや切手を購入できますので、ここから家族や友人はもちろん、自分宛に手紙を出してみるのも面白いかもしれません。帰国後に、公園特製の消印が押された手紙が届くというのも、楽しい旅の体験です。
パー・テーム国立公園では、4000年から3000年前に描かれた壁画がなんと300以上発見されています。そして断崖絶壁に描かれたこの古代壁画は、間近で見学することができます。絶壁の脇から階段を下りていくと現れるトレッキングコース。コースは絶壁の下の遊歩道を辿り、また崖を登って展望台に抜け、そこから駐車場まで戻るという約4kmのコース。かつては崩落のために危険な個所も多かったこのコース、補修が進んだ現在は、壁画までの道はかなり良くなっています。とは言え、今にも崩れてきそうな岩肌がせまる狭い歩道を歩くのは中々にスリリング。せり出した岩にドキドキしますが、この岩が雨風をしのいで、3000年もの間古代壁画を守ってきたのだそうです。岩肌に赤褐色の色合いで描かれた古代壁画は170mにもわたります。当時の生活の様子を描いたと思われる先史時代の絵は、とっくりのような形が連なっていたり、波を思わせる蛇のような湾曲した線だったり、思いを馳せるだけで感慨深いものがあります。ひときわ保存状態のよい箇所には、魚のような抽象画が。狩りの様子が描かれた絵だということで、メコン川が近いこともあり魚が描かれるのは自然なのですが、この魚、人間らしき絵の頭上部分に描かれていて、まるで空を泳いでいるように見えるのです。たまたまこの配置で描いただけなのか、人々の空想を描いたのか、それとも・・・?ロマンが詰まった古代壁画、このような貴重な文化遺産がここまで見事に残され、また間近で感じられる場所は、世界中でも数少ないのではないでしょうか。ちなみにこの遊歩道、壁画までの往復だけなら、小一時間あれば見学可能です。
パー・テーム国立公園で忘れてはいけない見どころがもう一つ、それはサオ・チャリアンと呼ばれる、キノコのような形をした奇岩群です。形だけでなく、色も裏側の模様すらも、キノコ、取り分け椎茸にそっくりな奇岩。廊下の柱、という意味を持つ奇岩は、風化とメコン川の洪水で地層が削られていく過程で、柔らかい下の部分が削られ、硬い上の部分が残ることで生まれます。上部の層はおよそ1億3000年前、厚みのある柔らかい下の層はおよそ1億8000年も前の地層とされています。悠久の時を経て自然が作り出した一大アート。公園の入り口近くにぞろぞろとキノコ岩がそびえ立つ光景は、迫力があると同時に可笑しみもあります。この奇岩群も、もちろん間近で見学可能。長細い岩上に乗る一枚岩。その傘の下に入って見上げると、今にもグラっときそうなスリルも味わうことができます。また、岩の表面に貝殻の化石が張り付いていることから、かつてはここが海面下であったことがわかっています。
11月から2月頃まで乾季、3月から5月頃までが暑季、6月から10月頃までが雨季と3つの季節にわかれています。乾季のシーズンが一番過ごしやすく、観光にも適しています。暑季は、一年のうち最も気温が高くなり過酷な暑さとなります。特に雨季に入る前の4月が一年で最も暑くなります。こまめな水分補給を心がけましょう。雨季は、雨の影響で気温が下がり、夜は比較的過ごしやすい暑さとなります。
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