死火山の山頂に位置する古代神殿の遺跡の数々に出会える場所、それがパノムルン歴史公園です。10~13世紀にかけて建設された壮大な寺院は、カンボジアにある世界遺産アンコールワットと同時代のクメール王朝時代のものとされています。アンコールワットに比べるとまだまだ無名の遺跡のため、訪れる観光客は少ないですが、迫力は負けず劣らず!また、遺跡の一つ一つの保存状態が非常に良いことでも知られています。穏やかな自然の息吹に包まれて、古代神殿を独り占め。静けさの中で太古の人々の営みに思いを馳せる、何とも贅沢なひとときを味わうことができます。
営業時間:6:00-18:00
料金:100THB
「大きな丘」という意味を持つパノムルンの山は、名のわりには標高わずか383メートル。しかし、パノムルンの山があるのはコーラート平原。平坦なこの地にあっては、パノムルンの山はとても目立つ上に、山頂の噴火口跡には池もあることから、昔から山、川、森などの精霊を信仰してきた地元の人たちにとってたいへん神聖な場所とされてきました。そして人々は、この神聖な山に「破壊と創造の神、シヴァ神」を祀るようになったのです。10世紀にカンボジア・アンコール朝の王によって祠堂が作られたのが始まりで、その後土地の献上や新しい神殿の建立を繰り返した結果、寺院を中心に町ができ、結果パノムルンには規模の大きな町が栄えたと推測されています。以後13世紀にかけて神殿も町も増築されてきたと見られますが、14世紀、クメールから独立を勝ち取ったアユタヤが侵略を始め、クメール王国の衰退とともに、町も衰退していきました。そんなパノムルンを再度世に紹介したのは、フランス人考古学者エティエンヌ・エモニエル (Étienne Aymonier, 1844-1929年)。1885年にパノムルンを訪れたエティエンヌ・エモニエルが7年後にその記録を公刊したことをきっかけに、パノムルンはタイの国定遺跡に指定され、1971年には復元が始まり、17年に及ぶ復旧作業の後、1988年5月21日シリントーン王女を迎えてパノムルン国立歴史公園はオープンしたのです。
タイに残るクメール遺跡の中でも、最大かつ最もすばらしいものと言われるパノムルン国立歴史公園。カンボジアの元となった王朝「クメール」時代の遺跡は、バプーオン様式で作られています。バプーオン様式とは、神話や仏伝、仏教説話をモチーフにシヴァ神などの彫刻がされた物語性豊かな装飾や、花綱の下で渦巻く葉状文様の彫りが深いことが特徴です。「横たわるナーラーイ神」は、まさにこのバプーオン様式の代表的なリンテル。二つの支柱の上に水平に渡されたブロックに描き刻まれているのは、ナーラーイ神(ヴィシュヌ神)が大蛇に乗って大海の上で眠り、そのヘソから蓮が生じて、その一つからブラフマー神が誕生した、というヒンドゥー神話です。また、このリンテルは修復前の1960年代に何者かに盗まれたという過去を持っています。二つに割れていたレリーフのうち、小さい方はバンコク市内の骨董品店で見つかったのですが、大きい方が見つかったのはアメリカ・シカゴの美術館でした。返還を渋ったアメリカでしたが、タイの国民的返還運動の結果、1988年、ついにタイへと返還され、同年の12月7日に無事にパノムルンの元の場所へ戻されました。「横たわるナーラーイ神」は美しい古代美術だけでなく、20年あまりの波乱万丈な長旅を背景に持つことでも有名なのです。遺跡のもう一つの特徴としては、他のクメール遺跡群と同じように、三角にそびえる屋根。この屋根は、チベット高原にある仏教の聖地とされるカイラス山をモチーフにしていると言われています。
ブリラムからスリン行きのバスに乗り、バン・タコの町で下車。そこから、バイクタクシーをチャーターして約8km走ります。土産物屋さんが立ち並ぶパノムルン歴史公園入口。入場料を払って門をくぐると、岩だらけのワイルドな斜面。山頂までこんな道を上っていくの?と一瞬心配になりますが、そこを超えると立派に整備された石階段になりますのでご安心を。階段を登ると、ラテライト(煉瓦をつくる原料)で舗装された長い参道に出ますが、いきなり正面に見える寺院のそびえ立つ姿はとにかく圧巻!参道の両脇には、蓮の花のつぼみをモチーフにした高さ1.6mの石柱が68基並んでいて、神殿へと導いてくれます。参道を進むと「ナーガの橋」と呼ばれる、十字型の橋が現れます。東西南北の四方を、頭を5つ持つナーガが鎌首を持ち上げ守っているのですが、これはクメール寺院の定番で、人間界と神々の住む天上界を結ぶという意味があると言われています。このナーガの橋の中心にも、蓮の花のモチーフを見ることができます。この後、もう一つ「ナーガの橋」を超えると、リンテルに横たわるナーラーイ像が刻まれた主祠堂があります。ここには、シヴァ神を表すリンガと、シヴァ神の乗り物である聖牛ナンディンが安置されています。ここからは古代遺跡のオンパレード。主祠堂の南西に建つ、6m四方の小さなプラーンや、10世紀に作られたとされる同公園最古のレンガ遺跡があります。歴史を感じ、細部にわたるまでレリーフを鑑賞し美しい古代美術に酔いしれた後は、主祠堂を反対側へ抜け、回廊を抜け、木々に囲まれた広場にぜひ行ってみてください。広大なコーラート平原を眼下に臨む、その眺望には思わず息を飲んでしまいます。ここからは、南方にドンラック山脈、その向こうのカンボジアまで見渡せます。悠久の時を過ごした後は、駐車場脇のお土産屋さんをのぞいて、遺跡レリーフ同様に細工の凝らされたマグネットなんかを鑑賞して、気に入ったらお土産に買って帰るのも楽しそうです。
ツアー・アクティビティ名 | 所要時間 | 詳細 |
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イサーンのクメール遺跡を巡る!観光ツアー | 1日 |
11月から2月の乾季は雨が少なく気温、湿度ともに高くなりすぎず観光に適したシーズンです。3月から雨季に入る5月頃までは気温が上がり、平均最高気温が36度を超えることもあり熱中症に注意が必要です。5月になるとモンスーンシーズンとなり10月まで雨の多い日が続きます。この時期は、雨の影響で日中の気温が下がり、夜も比較的過ごしやすい暑さになります。
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【スワンナプーム空港からバンコク市内】
<エアポート・レール・リンク>
空港から終点パヤータイまで運行
所要時間:(パヤータイまで)26分
料金:45THB
<リムジンタクシー>
到着ロビーのカウンターで申込。
係員の案内に従いタクシーに乗車。
所要時間:40~60分
料金:950THB~ ※行き先により異なる
<メータータクシー>
ターミナル1Fのタクシー乗り場から乗車
所要時間:40~60分
料金:メーター300THB前後~
※空港使用料50THB、有料道路25~75THB別途
【バンコク市内からブリラム】
<バスを利用>
バンコク北バスターミナル(モーチット)からブリラム行きに乗車
所要時間:6~7時間
【ブリラムからパノムルン】
スリン行き274番に乗車
→バン・タコ下車
→バイクタクシーをチャーター
所要時間:約1.5時間