ラオス国境にほど近い、タイ東北部のウドーンターニー。先史時代の遺跡などが数多く発見され、古来より人々が生活を営んできた歴史を垣間見られるこの地域にあるのが、プー・プラ・バート歴史公園です。広大な敷地内には、自然の力で形造られた奇岩や巨石群が点在していて、それらは舗装された遊歩道で繋がれています。キノコのような外観が印象的な岩や、地方の伝説にも登場する王女の住居などが見どころになっています。
営業時間:8:00-16:30
料金:100THB
不思議な景観が楽しめることで知られているプー・プラ・バート歴史公園。プーはタイ語で「山」、プラバートは「聖なる足跡」を意味しています。奇岩が点在する深い森一帯に遊歩道などを整備して作られたこの公園は、全長約9kmで、トレッキング感覚で散策することができます。公園内は自然の姿がそのまま残されていますが、遊歩道のほとんどは舗装されているので比較的回りやすいコースになっています。奇岩を始めとした園内の見どころポイントを全て見て回ると、3~4時間ほどかかります。管理事務所で入場料を支払った際にもらえるガイドマップを参考に、森林浴を楽しみながら園内を散策してみてくださいね。ただ、一度園内に入ると遊歩道沿いには売店やトイレはありません。トレッキングには欠かせない水や軽食などの買い物とトイレは、駐車場付近で済ませてから入園するのがおすすめです。また、プー・プラ・バート歴史公園の管理事務所から車でほど近い距離には、釈迦の足跡を石に刻み信仰の対象とした「仏足石」のある寺院もあります。タイの寺院で時々見られる仏足石ですが、この寺院にあるものは長さ2m近い大型のもの。公園と合わせて見学するとよいでしょう。
プー・プラ・バート歴史公園は、ウドーンターニー市街から約54km、車で約1時間半の場所に位置しています。ウドーンターニーから車やバイクをレンタルするか、チャーターして移動するのがおすすめ。市街から近くまで行くバスも出ていますが、管理事務所のある入口付近までは車で移動することになるので、乗り換えが必要になります。
プー・プラ・バート歴史公園の見どころは何と言っても、公園内に点在する奇岩の巨石群です。こうした不思議な光景を作ったのは自然。主に氷河と浸食の力で形成されたとされています。公園のあるこの地域一帯は、数百年前は氷河に覆われた氷の大地でした。その後起った大規模な気候の変化を受けて動き出した氷河が地表を削っていく過程で、他ではあまり見られない岩が形を生み出されました。こうした地形に雨風の浸食などが合わさり、現在見られる奇岩群が出来上がりました。キノコのような形をした奇岩群は、今から3000~2500年前の先史時代には、人々の住居としてそのまま利用されていました。9世紀~11世紀頃になると、こうした住居は仏教やヒンドゥー教などの宗教の祭事場として使われるようになります。奇岩に仏像を彫りこみ、また岩で出来た祭壇に仏像を安置するなどして造られた天然の仏教寺院には、今も多くの参拝者が訪れます。後の時代になってから安置された仏像も多くある中、仏陀の座仏像が自然に現れたと信じられている岩壁は有名で、信仰を集めています。これらの奇岩群はその外見だけでなく、残された壁画も大きな見どころになっています。岩肌に赤い塗料で描かれているのは、人物が釣りや狩りをする様子や、牛などの動物を抽象化したものや手形で、先史時代の人々の営みを今に伝えています。肉眼ではっきりと見てとれる古の時代の壁画の数々には感動すること間違いなし。壁画は屋根のように突き出した平たい岩によって雨風から守られたため、消えなかったと言われています。
プー・プラ・バート歴史公園にある奇岩群には全て名前がついているのですが、これはタイ東北部(イサーン地方)に住む人々の伝説「ナン・ウサとタオ・バロスの伝説(The legend of Nang U-sa and Tao Baros)」にちなんでいます。物語は、美しい王女「ナン・ウサ」と若者「タオ・バロス」の悲恋。2人の恋を認めなかった王が、相手の首をかけて寺院を早く建てることを競い合い決着をつけようとしたのですが、彼女の乳母の入れ知恵により、有利な立場にいたはずの王は敗北。首をはねられてしまいます。めでたく結ばれた2人なのですが、物語は彼女の死で幕を下ろします。物語に登場する王女が暮らしたとされている奇岩住居跡「ウサの塔」は、高さは約10mで人口の窓が施されています。公園のほぼ中央に位置し、プー・プラ・バート歴史公園のシンボル的な存在で、一番の見どころとなっています。
この他にも、公園内には面白い見どころがたくさん。園内を左回りで回ると最初に出てくる奇岩Kok Ma Noiは2つの大きさの違う岩が重なるようにして、キノコのような外見を生み出しています。石突の部分にあたる岩は砂岩なので、長い年月の間に風化し、その上にあった硬い岩が取り残されて今の形になったのだとか。この岩の周りには聖域を示すとされる「バイ・セーマー」と呼ばれる石碑が立っていて、結界が形成されており、かつて宗教の祭事場として使われていた頃の跡が残っています。また、3点支持の変わった岩や、大きな岩に彫られた井戸など、園内のコースには面白い岩がたくさんあります。高台から臨む絶景も見逃せません。
11月から2月の乾季は雨が少なく気温、湿度ともに高くなりすぎず観光に適したシーズンです。3月から雨季に入る5月頃までは気温が上がり、平均最高気温が35度を超えることもあり熱中症に注意が必要です。5月になるとモンスーンシーズンとなり10月まで雨の多い日が続きます。この時期は、雨の影響で日中の気温が下がり、夜も比較的過ごしやすい暑さになります。
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