ロベン島は、ケープタウンから約12kmの沖合に浮かぶ島です。ロベン島周辺の海域は潮の流れが早く、人が自力で渡るのは非常に困難だったため17世紀から流刑地やハンセン病患者の隔離、軍事訓練施設など様々な用途で使用されてきました。20世紀後半にはアパルトヘイトに抵抗した政治犯の収容所となり、南アフリカ第8代ネルソン・マンデラ元大統領が収容されていたことでも有名です。1999年にユネスコの世界遺産に登録され、現在はロベン島やアパルトヘイトの歴史を伝える博物館として刑務所や島内の史跡が一般公開されています。
<ロベン島博物館>
営業時間:8:00-17:00 (12/26、1/1は12:00まで)
休業日:5/1、12/25
料金:(大人)550ZAR(18歳未満)300ZAR ※フェリー代込み
公式サイト:robben-island.org.za
(2020年2月現在)
ケープタウンの沖合に浮かぶロベン島。ここは「監獄島」とも呼ばれ、流刑地やハンセン病患者の隔離、軍事訓練施設など時代毎に様々な用途で使用されてきましたが、最も記憶に新しいのは20世紀後半に反アパルトヘイト運動を行った活動家たちが政治犯として収容されていた刑務所だったこと。ロベン島の刑務所には、1959年の開所から最後の収監者が釈放された1991年までの間に約3000人が収容されました。その中には、後に南アフリカの大統領を務めたネルソン・マンデラ、カレマ・モトランテ、ジェイコブ・ヅマをはじめ、政治家ウォルター・シスル、第9代大統領タボ・ムベキの父ゴヴァン・ムベキ、南アフリカの政党パン・アフリカ人会議を創設したロバート・ソブクウェなど多くの英雄たちがいました。
1996年に刑務所は閉鎖された後も刑務所やロバート・ソブクウェの家、囚人が重労働を課せられた石灰採石場、軍事関連施設、教会、モスク、ハンセン病でなくなった人々の墓地、灯台などロベン島の施設は保存され、現在はロベン島やアパルトヘイトの歴史を伝える博物館として一般公開されています。また、人種差別や人権抑圧の過酷な状況下で強い信念を持ち続けた人間精神の強さを証明する地として1999年にユネスコの世界遺産に登録されました。
ロベン島の観光は、ツアー参加が必須です。ツアーのフェリーはV&Aウォーターフロントにあるネルソン・マンデラ・ゲートウェイから出ています。ロベン島ツアーは1日3便(ハイシーズンは4便)と限られており、観光のハイシーズンや週末は売り切れとなることも珍しくないので、事前に予約(webサイトから予約可能)しておくことをオススメします。フェリーの乗船時間は30分程度ですが、この海域は潮の流れが早く揺れやすいので、船酔いしやすい人は対策をしておいた方がよいでしょう。島に到着した後は専用のバスに乗ってガイドから島の歴史やアパルトヘイト時代の様子についての説明を聞きながら、島内の施設を廻ります。
島南部のビューポイントからは、晴れた日にはテーブルマウンテンの全景を眺めることができます。このビューポイントには巨大なフォトフレームが設置されており、テーブルマウンテンをバックに記念撮影ができる人気のスポットとなっています。また、ロベン島の桟橋の北側にはケープペンギンのコロニーとなっているビーチがあり、海岸をよちよちと歩くペンギンたちの姿を目にすることができます。
ロベン島ツアーのハイライトとなっているのが刑務所の見学です。刑務所では、ここに収監されていた元政治犯がガイドを務め、当時の体験談を語ってくれます。人種差別は、刑務所内においても存在していました。この刑務所には、アジア人や混血のカラードの囚人もいましたが、彼らに比べると黒人の囚人に与えられる食事は粗末で、さらに着るものや労働にまで差別は及んでいたと言います。体験者本人から語られる言葉は、生々しく重みがあります。ここでは、人間の愚かさや醜い部分にも直面し、もしも自分の生まれた時代や場所、人種が違っていたらと思うと何とも言えない複雑な気持ちになります。それと同時に私たちが当たり前と思っている人権や自由を享受できる社会がいかに尊いものなのか、そして、どんな逆境に立たされても希望を捨てずに戦い続けた彼らの強い精神力に胸が熱くなります。
ロベン島に収監された人物で世界的に有名なのが、1994年に南アフリカ初の黒人大統領に就任したネルソン・マンデラ。彼は、前任の南アフリカ第7代大統領フレデリック・ウィレム・デクラークとともに平和的にアパルトヘイト政策の撤廃に尽力し、1993年にデクラークとともにノーベル平和賞を受賞しました。
反アパルトヘイト運動の活動家だったネルソン・マンデラは、1964年に国家反逆罪で終身刑となり、27年間に及ぶ投獄生活のうち、最初の18年間をこのロベン島の刑務所で過ごしました。ネルソン・マンデラが収監されていた独房は今でも保存されておりロベン島ツアーで見学することができます。狭い独房には、就寝用のブランケット1枚とトイレがわりのバケツしかありません。収監中には結核などの呼吸器疾患を患ったり、採石場での強制労働で目を痛めるなど過酷な生活に耐えながら、勉学を続け、法学士号の取得や様々な知識を身に付けていきました。すべては自由と平等のために。こうして同じ志を持つ仲間とともに政治的な思想を固め、ネルソン・マンデラは南アフリカを民主主義へと導いていきました。
刑務所から少し離れた場所にあるロバート・ソブクウェの家も一般公開されています。ロバート・ソブクェは反アパルトヘイト運動活動家の一人で、パン・アフリカ人会議(PAC)を創設し、初代総裁を務めた人物です。ソブクェは、1960年に反パス法のデモの扇動した罪で有罪判決を受け、3年の刑に服した後、再逮捕されロベン島に拘留されました。その後の一般法改正により法務大臣の裁量でソブクェの拘留期間を延長することができる「ソブクェ条項」が可決され、ソブクェは1969年までロベン島に拘留されました。ソブクェの家は、独立した広い建物で、他の囚人とは明らかに異なる特別待遇でしたが、他の囚人との接触を厳しく禁じられていました。さらに釈放後も自宅軟禁の状況に置かれ、自由を奪われたまま、1978年に肺ガンにより53歳で苦難の生涯を閉じました。
ツアー・アクティビティ名 | 所要時間 | 詳細 |
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ロベン島&刑務所ツアー | 3.5時間 | |
終日タウンシップ&世界遺産・ロベン島観光(混載/日曜日以外催行) | 1日 |
南半球に位置するケープタウンは、北半球とは逆の季節になります。地中海性気候に属し、夏は晴れて乾燥した日が続き、冬は雨が多くなります。1年を通して観光を楽しめますが、ベストシーズンは、夏の11月~3月です。日中は日差しが強いので帽子やサングラス、日焼け止めなどの対策が必要です。また、夏でも朝晩は冷え込むので温度調節のしやすい羽織りものなどを用意しておくことをオススメします。
天気予取得中... |
【ケープタウン国際空港から市内】
<MyCiTiバス>
MyCiTiバスのA01番が空港からシビックセンターまで運行。
所要時間:約40分
料金:(シングルチケット)85ZAR
※チャージ式myconnectカードの場合は割引料金適用。
参考サイト:myciti.org.za
<タクシー>
所要時間:(市内中心部)20~30分
目安料金:300ZAR前後~
<空港シャトル>
空港から目的地まで乗り合いのシャトルサービス(15~20分間隔で運行)
所要時間:(市内中心部)20~30分
目安料金:300ZAR前後~
【ケープタウン市内からのアクセス】
V&AウォーターフロントのNelson Mandela Gatewayからフェリーで約30分
フェリースケジュール9:00、11:00、13:00(15:00ハイシーズンのみ)
(2020年2月現在)