メコン川が減水する乾季にのみ、川底から現れる幻の光景があります。サム・パン・ボークと呼ばれるこの広場の広大な岩盤上には、「3000個の穴」という意味を持つその名の通り、大きさも深さも形もさまざまな無数の穴があいています。巨大な指を押し付けて作ったようにも見えるこの穴は、長い歳月をかけてメコン川が浸食したことにより生まれたもの。このダイナミックな景観は必見です。
タイ最東部にある県都、「蓮の都」ウボンラーチャターニー。南はカンボジア、東はラオスに接し、特に、タイ、カンボジア、ラオスの3国にまたがる地域は、自然の多いことから、エメラルド・トライアングルなどと呼ばれています。市街中心部は非常に整備されていて大きく賑やかな都市で、バンコクから飛行機で1時間と好アクセスということもあり、毎年7月に行われる「ローソク祭り」(スリンの象祭り、スコータイ発祥のタイ全土で行われるロイクラトン祭りと並び、タイの3大祭りの1つに数えられてます)には、タイ全土から大勢の観光客が集まります。
サム・パン・ボークは、そんなウボンラーチャターニーの市街中心部から120kmの場所に位置します。車で約2時間ほどの距離なので、街で車をチャーターして訪れるのがお勧めです。タイのグランドキャニオンとも呼ばれるサム・パン・ボーク、10平方kmにも及ぶ壮大な岩盤地帯と悠々と流れるメコン川とのダイナミックな景色を臨むことができます。6か国を跨ぎ4200kmに渡って流れる東南アジア最長のメコン川、この豊かな川が浸食によって作り出した河床の岩盤は、乾季にのみ、その姿を現します。雨季と乾季では川の水位が14mも違うのだとか。岩盤を散策しながら、雨季時の風景に思いを巡らすのも面白そうです。乾季のみ見学可能ということで、ベストシーズンは言うまでもなく12月~5月の乾季。日中はとても暑くなる季節な上に、岩盤一帯には木陰などの日光を遮る場所がないので、朝または夕方に訪問しましょう。サンライズやサンセットが美しく見えるスポットとしても注目されつつあるサム・パン・ボーク。近年タイの人々の中では、年末年始の休みをこういった景勝地や国立公園でキャンプをして過ごす人が増えていて、同じウボンラーチャターニーに位置するパー・テーム国立公園でも、朝日を見るために訪れた人々のテントが張られています。リゾートで年越しするのも素敵ですが、こんな壮大な景色の中での初日の出を拝めたら、清々しい気持ちで一年を迎えられそうな気がしますね。また、周辺は土地柄イサーン料理専門店が多く立ち並んでいますので、こうした地方料理を楽しめるというのも魅力の一つ。今やタイ全土で日常的に食べられている青パパイヤを使ったサラダ「ソムタム」や、ナンプラーやライムで味つけされた肉類のサラダ「ラープ」なども、実はイサーン料理がルーツ。他の地方の料理と比べて辛味が非常に強いというのがイサーン料理の特徴ですが、やはり本場で食べると辛みの強いソムタムやラープが出てくるのでしょうか。訪れた際には、ぜひお試し下さい。
サム・パン・ボークのボークは、タイ東北地方の方言又はラオス語で「穴」という意味。どこまでも広がる岩盤上にポコポコと空くこの穴、自然が作り出したものですから、当然同じものはありません。パンケーキのような真ん丸なものから、犬の頭、星、カメなど、ユニークな形のものまで実に様々。中でも有名なのは、ミッキーマウスに見える穴。テーマパークから何千kmも離れたサム・パン・ボークにも「隠れミッキー」があるようです。水たまり程度の浅いものから、地層がむき出しになった深いものまで、その深さもバラエティに富んでいます。人がすっぽりと入れてしまうほどの大きさの穴もそこら中に空いているので、中に入ってみるのも旅の楽しい体験なのですが、入る際にはくれぐれもご注意を。個性豊かな形を持つサム・パン・ボークの穴たち。訪れた際には、ユニークな形の穴々が何に見えるか連想しながら散策するのも楽しいでしょう。隠れミッキーに続く、新しい名所が生まれるかもしれません。
サム・パン・ボークでは、メコン川を4kmに渡って下るボートクルーズがあります。川岸の景勝地を順に訪れることが出来るのですが、見どころの一つが、パク・ボン(Pak Bong)と呼ばれるメコン川において最も川幅が狭いとされるスポット。雄大なメコン川がわずか川幅56mになる光景は必見です。また、クルーズの半ばで現れるヒン・フア・パニアン(Hin hua Phaniang)と呼ばれる川に突き出すようにしてそびえる巨大な岩も迫力がありますし、ハット・ホン(Hat Hong)という粒子の非常に細かいパウダリーな砂山を裸足で散策するのも最高に気持ちのよい体験。この砂丘は、サンセットの美しさでも有名な場所です。ボートクルーズでは、対岸のラオスで魚を捕る様子などを見学することもできるかもしれません。颯爽と大きな網を引く姿は何とも男前。こんな風に、川岸の人々の暮らしを垣間見ることが出来るのも、ボートクルーズの魅力の一つ。そんなボートクルーズは2時間ほど。夕方に出発すれば、クルーズ終盤で、対岸のラオスの空に月が登ることもあります。ツアーガイドさんに「スワイマーク!(とてもきれい)」と話しかければ、きっと船上に、和やかな時間が流れることでしょう。
11月から2月頃まで乾季、3月から5月頃までが暑季、6月から10月頃までが雨季と3つの季節にわかれています。乾季が一番過ごしやすく、観光にも適しています。暑季は、一年のうち最も気温が高くなり過酷な暑さとなります。特に雨季に入る前の4月が一年で最も暑くなります。こまめな水分補給を心がけましょう。雨季は、雨の影響で気温が下がり、夜は比較的過ごしやすい暑さとなります。
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