タイ中部のカンチャナブリーより山道を車で4時間ほど走ったところにある、タイの西の果ての町サンクラブリー。ミャンマーとの国境の街でもあるサンクラブリーには、カレン族やモン族が多く暮らしています。手つかずの自然が多く残るサンクラブリーでは、タイ最長と言われる木造の橋や湖に沈んだ寺院などが見どころ。観光客向けのホテルもありますが、モンブリッジ下に浮かぶ「いかだの宿」もおすすめです。
サンクラブリーのシンボルとも言えるのが、市街とモン族の村を結ぶ「モンブリッジ」。モンブリッジは、南北約70kmあまりの湖のような巨大なダム「カオレーム・ダム」にかかる木造の橋なのですが、全長はおよそ850mあり、タイの木造の橋では最も長く、世界でも二番目の長さを誇ります。橋の向こうにはモン族の集落があり、住民たちはサンクラブリー市街への買い物や学校への登校など、日常的にこの橋を使っています。モンブリッジは、ワット・ワンウィウェーカーラームの住職、ウッタマ僧侶の発案で築かれました。ミャンマー生まれのウッタマ僧侶は、ミャンマー仏教界最高位の試験に合格した後、ミャンマー各地やタイのチェンマイにまでも足を伸ばし積極的に巡礼をしたことで知られており、この地に住むモン族やカレン族から厚く信仰を集めた僧侶です。橋が出来上がったのは1987年。カオレーム・ダムが完成してから3年後のことでした。市街と集落をつなぐ重要な橋として機能していたのですが、2013年7月、大雨の影響で橋の中央が崩落。現在は、モンブリッジの脇にある、湖上に浮かぶ竹製の橋が人々の生活の橋として使われています。市街から集落へ向かう時には、橋手前左手の階段を湖へと下りて竹橋へ。柵の無い竹の橋は、一歩踏み出すたびにミシミシと軋む感触が足裏から伝わってきます。急遽作られた竹橋、ここから見上げるモンブリッジの光景も、中々に趣きがあります。現在も修復作業が続くモンブリッジ、向こう岸まで渡ることはできませんが、橋の上を見学することは可能です。橋からは水上に浮かぶいかだの家が臨めるほか、夕暮れ時にはこの橋の上からサンセットを望む人々の姿で賑わいます。また早朝に行けば、朝霧の中に浮かび上がる橋の幻想的な風景が見られるかもしれません。因みにこのモンブリッジ、自転車は通ることができますが、車やオートバイは通行禁止です。
サンクラブリー市街から車で30分くらい走った先、ミャンマーとの国境沿いには、白く美しい三つの仏塔が並んでいます。国道の終着地でもあるこの地に並ぶ仏塔はスリー・パゴダ・パスと呼ばれており、この辺りは山地を超える峠道として、古来より人の行き来があったとされる場所でした。3世紀にインドより仏教が伝来した時にも、16世紀頃にビルマ軍がアユタヤに侵攻した時にも、この峠を通ったと推定されています。また、第二次世界大戦中に旧日本軍によって建設・運行されたタイとビルマ(現ミャンマー)を結んでいた泰緬鉄道もこの地を通っており、今でも線路跡が残されています。スリー・パゴダ・パス周辺は閉鎖されていた時期もありましたが、現在は日帰り観光も可能になり、国内外より旅行客が訪れるようになりました。スリー・パゴダ・パスの近くにはイミグレーションがありますが、こちらは暫定国境ということで、通過できるのはタイ人のみとなっています。※国境付近の状況は流動的なので、利用する場合は最新情報を確認して下さい。
サンクラブリーの見どころとして忘れてはいけないのが、湖に沈んだ寺院「ワット・ワンウィウェーカーラーム」です。1953年に建立されたこの寺院は、1984年のカオレーム・ダム完成時に、湖に沈むことになりました。湖の水位が下がる乾季には寺院の建つ陸地部分まで現れて上陸することもできますが、雨季には寺院の上部が3m前後現れるのみとなり、ボートでしか行くことが出来なくなります。ボートで近づいて行くと、見えてくるのがワット・ワンウィウェーカーラームの鐘楼跡。そして本堂跡の正面へと回り、階段にボートを近づけてもらうと、寺院への上陸が可能となります。今も門が残る本堂。中に入ると、壁にフジツボのような装飾の跡がびっしりあることに気が付きます。ここにはかつて小さな仏像がはめ込まれており、ダム建設に伴ってワット・ワンウィウェーカーラームを移築した際に、全て移されて安置されたということです。
現在ワット・ワンウィウェーカーラームは、モン族の集落がある丘の上に、ダム湖建設後に建てられました。歩いて行くことも可能ですが、モンブリッジ周辺でバイクをチャーターして行くのがおすすめです。ここには、ウッタマ僧侶の棺が安置されています。2階はミュージアムになっているので、訪れた際にはこちらも見学して行くとよいでしょう。ここから800mほど離れたところにはチェーディー・プッタカヤーという金色の仏塔が建っています。距離は離れているものの、実はチェーディー・プッタカヤーはワット・ワンウィウェーカーラームの一部。遠目から見ても美しい金色の仏塔の壁面はモダンなデザインで、旧ワット・ワンウィウェーカーラームから運ばれた仏塔が数多く安置されています。
新旧ともに、たくさんの参拝者が訪れるワット・ワンウィウェーカーラーム。早朝に集落側のモンブリッジ入口に行くと、僧侶へのお布施とされる食事のセットがたくさん用意されています。このセットを買い、長い列を作って僧侶を待つ姿はサンクラブリーの早朝の風物詩となっています。
一番快適に過ごせるのは11月中旬からの約2カ月間です。乾季に入ってすぐのこの季節はタイにしては珍しく夜間にブランケットが欲しくなるくらいの涼しさです。その他の月は、高温多湿で蒸し暑い南国らしい気候です。3~5月は気温が最も高く、脱水症状を起こしがちです。こまめに水分補給をしましょう。6~10月の雨季には、大雨が降ると道路が冠水することがあります。
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【スワンナプーム空港からバンコク市内】
<エアポート・レール・リンク>
空港から終点パヤータイまで運行
所要時間:(パヤータイまで)26分
料金:45THB
<リムジンタクシー>
到着ロビーのカウンターで申込。
係員の案内に従いタクシーに乗車。
所要時間:40~60分
料金:950THB~ ※行き先により異なる
<メータータクシー>
ターミナル1Fのタクシー乗り場から乗車
所要時間:40~60分
料金:メーター300THB前後~
※空港使用料50THB、有料道路25~75THB別途
【バンコク市内からのアクセス】
<バスを利用>
南バスターミナルからカンチャナブリー行きのバスに乗車
(所要時間:2~3時間、料金:110THB)
→カンチャナブリーバスターミナルからサンクラブリー行きのバスに乗換え
(所要時間:約4時間)