クメール様式の仏塔が美しいワット・マハータート・ウォラウィハーンは、「宝石の町」という意味を持つペッチャブリーに位置します。55メートルもの高さを持つ仏塔は町のほとんどの場所から見ることができ、ペッチャブリーのランドマークになっています。黄金の座仏像が3体一列に並んだ本堂には、アユタヤ時代の壁画が残されています。
ワット・マハータート・ウォラウィハーンは、ペッチャブリーの観光ガイドなどには必ず登場する、ペッチャブリー市のシンボル的な寺院です。その歴史は古く、建立は今から1000年ほど前のクメール時代にまで遡るとされています。ワット・マハータート・ウォラウィハーンは、美しい漆喰と繊細な彫刻が魅力の寺院。敷地を囲む背の低い外壁も敷地内へと入る門も、漆喰と彫刻が施されていますが、何と言っても一番の見どころは、純白のクメール様式の仏塔です。クメール様式の仏塔は、全体的にトウモロコシのような形をしているのが特徴なのですが、この寺院ではその影響が見られるのは塔の上部のみで、こうした4基の仏塔の下部で方形の台座が組み合わさり、全体で一つの建物になったような造りになっています。仏塔の高さは55メートルを誇り、町中のほとんどの場所から、この仏塔を臨むことができます。仏塔の上部には4面にそれぞれ黄金の立仏像が安置されている他、細かい彫刻も施されています。彫刻のモチーフの中には、インド神話に登場する炎の様に光り輝き熱を発する神鳥「ガルーダ」などもあり、ヒンズー様式の影響も受けていることが分かっています。仏塔は中央に階段が設けられているので、登って見学することもできます。また、仏塔の周りには、塔をぐるりと取り囲むように回廊が造られています。この回廊にはたくさんの仏像が安置されていて、一つ一つお顔が違うので、じっくりと時間を掛けて見学して回るのもいいかもしれません。これらの仏像は、ペッチャプリーの仏師によって作られたと言われています。
クメール様式の仏塔の前に建っているのは本堂で、仏陀や植物などの繊細な漆喰彫刻が施された、どっしりとした屋根が特徴的です。建物前にはタープが張られていて、参拝用の線香と花はここで購入することができます。タイでは参拝の際に靴を脱いで本堂に上がることで知られていますが、室内に入る前に脱ぐべきか、建物に入る前に脱ぐべきか、慣れないうちは悩んでしまうことも。ワット・マハータート・ウォラウィハーンは本堂の入り口前にも黄金の立仏像が安置されているので、靴は建物に入る前、階段下で脱いでから上がったほうが良さそうです。本堂内では、大きさの異なる3体の黄金の座仏像が、高さの違う台座に安置され縦一列に並べられています。仏像はもちろんですが、この台座の彫刻も必見。繊細に彫りこまれているのは、台座を両手で支えるように持ち上げるガルーダたちです。こうしたガルーダは彫刻のモチーフとしてはよく見られ、特にアユタヤ時代のものには多いのだとか。本堂内にはアユタヤ王朝期の壁画も残されていて、釈尊が前世に菩薩として修行していた時のエピソード「ジャータカ」をモチーフにしたものや、当時の人々の暮らしなどが描かれています。傷んではいますが、歴史を感じさせてくれる壁画です。寺院敷地内一番左奥には小さな御堂があり、この御堂の入り口前には座仏が安置されています。この仏像の台座も本堂の台座と同じような漆喰彫刻で造られていて、本堂のものよりも間近に見学することができます。堂内は赤い絨毯に白い壁、黄金の座仏像ととてもシンプルです。
ワット・マハータート・ウォラウィハーンは、木造家屋が建ち並ぶ下町地区に位置します。レトロな建物と白い仏塔のコントラストは絵葉書などのモチーフによく使われるため、ペッチャブリーの代表的な風景となっています。寺院を訪れる際には、寺院までの町並みも楽しんで散策してくださいね。寺院の手前に流れるペッチャブリー川は、橋の階段から下に降りていくこともできます。日が落ちると寺院はライトアップされるため、夜のペッチャブリーに浮かぶ美しい塔を見ることができます。
ワット・マハータート・ウォラウィハーンがあるペッチャブリーは、西側にミャンマーとの国境を持ち、マレー半島の付け根にあるため、タイ南部の入口とも言われています。この地域はかつてラーマ4世が離宮を建てたことでも知られていて、離宮は現在は「プラナコーンキリ歴史公園」(別名:カオ・ワン)として、宮殿中の彫刻、陶磁器、家具などが展示されています。高さ92メートルのマハサマナの丘の上に建つ歴史公園へはケーブルカーで登って行きます。ワット・マハータート・ウォラウィハーンから徒歩圏内なので、合わせて見学するのも面白そうですね。この歴史公園では毎年2月に、ラーマ4世、ラーマ5世、ラーマ6世に敬意を表してプラナコーンキリ祭りが行われています。
また、ワット・マハータート・ウォラウィハーンから南に車で30分ほど行ったチャアムは隣接するホアヒンと共にモダンなビーチ・リゾートや高級ホテルなどが集まるエリアです。大変落ち着いた雰囲気の中でリゾートステイが楽しめるのが魅力。バンコク王朝歴代王の美しい離宮を見学することができるのも、この地域ならではです。ペッチャブリーへは、バンコクからは車で約2時間。鉄道を利用する場合は3時間ほどで到着します。
一番快適に過ごせるのは11月中旬からの約2カ月間です。乾季に入ってすぐのこの季節はタイにしては珍しく夜間にブランケットが欲しくなるくらいの涼しさです。その他の月は、高温多湿で蒸し暑いタイらしい気候をしています。日本の7、8月頃の気候を想像するとちょうどいいです。3~5月は気温が最も高く、脱水症状を起こしがちです。水分を持って出歩きましょう。また、6~10月の雨期には連日多く雨が降ります。
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【スワンナプーム空港からバンコク市内】
<エアポート・レール・リンク>
空港から終点パヤータイまで運行
所要時間:(パヤータイまで)26分
料金:45THB
<リムジンタクシー>
到着ロビーのカウンターで申込。
係員の案内に従いタクシーに乗車。
所要時間:40~60分
料金:950THB~ ※行き先により異なる
<メータータクシー>
ターミナル1Fのタクシー乗り場から乗車
所要時間:40~60分
料金:メーター300THB前後~
※空港使用料50THB、有料道路25~75THB別途
【バンコク市内からペッチャブリー】
<バスを利用>
バンコク南バスターミナルからペッチャブリー行きに乗車
所要時間:2~2.5時間
<電車を利用>
フアランポーン駅からペッチャブリー方面行きに乗車
所要時間:約3時間
※ペッチャブリー駅から車で5分、徒歩20分